あたり前が出来た時に
彼が家に来て、私の母親にこっぴどく人生観などを唱えられていると、大抵彼の凹んだ様子が伺える。彼には悪いけれど、普段実際に顔を合わせずに彼との言葉のやり取りをする私にとってはそれがとても新鮮だと感じる。よく毎日顔を合わせるカップルほど別れるなんて偉そうに言う人がいるが、要するにこういう発見が減って互いを見なくなってしまうことを恐れているのかもしれない。
驚くほど彼は本心を曲げない、それは私もお互いさまで、私に至っては感情的にももっと激しいからある意味恐ろしい組み合わせな気がする。でも今までお互いに譲らずに終わってしまったことは少ないかゼロだった。最終的にはどちらかが譲るか互いに譲り合う。
性的な気持ちで場に流されているのは若さなのか、それって当たり前の夫婦像なのか。
これからもこんな風に生きていけるのか。
ある一日の幸せでそんなことが考え付くだけ、まだうまくいっていると思うことにした。